サクラスのミッションについて

 サクラスはエンターテイメント業界に対するデジタル・トランスフォーメーション等のコンサルティングを提供している企業であり、社名はSAKURA(桜)とAS(明日)を組み合わせたもので、「未来の才能が開花する」という意味が込められている。

 なぜ、才能を持っている人たちの応援に徹しているのか。今回は私、粟根が当社サクラスの池上真之社長に直接インタビューをし、会社のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)について聞いた。


――当社サクラスのビジョンやミッションには「才能の開花を支援する」「抑圧からの解放」といったことが掲げられていますが、なぜそのようなビジョン・ミッションなのでしょうか。


 才能をある人が自由に自分の才能を発揮できる世の中にしたいというのが会社のビジョンなのですが、その実現のためにミッションとして掲げている言葉が「DE OPPRESSO LIBER(抑圧からの解放)」です。これはアメリカのグリーンベレー(特殊部隊)から借りてきたものなのですが、才能を持った人たちの力を、戦略とテクノロジーの力でもっと解放できたらという願いが込められています。


――ミッションとしてあげられている「抑圧からの解放」に関して、具体的にどのようなものが「抑圧」であると感じたのでしょうか。


 抑圧というか、昔はお金がなかったり、大組織に属さない状態だったりだと、才能を表現することが難しかったと思います。大きな番組に出たり、大きな会社や事務所に入ったりなどの大きな力とのかかわりが大切であり、才能を開花させるにはさまざまな手順を踏まなければならなかったと思います。これが昔ですね。


 しかし、今ではさまざまな生き方が認められていい。自由度が広がった現代では、以前のように手順を踏まなくても、テクノロジーの力を借りて一気に才能を表現することができます。その点では「抑圧からの解放」といえるのではないでしょうか。


――現代だからこそできる新たな才能の開花方法ですね。


 しかし日本はまだ考え方追いついていないところがあり、文化的にも自由を楽しめていないと感じます。「出る杭は打たれる」という言葉もありますが、日本は自由や自己決定にどこか後ろめたさを感じる文化を持っています。だからこそ、自由に自分の才能をどう開花させるかを自分で決める、ということを応援したいと考えています。


――自由が後ろめたい日本文化という抑圧からの解放も含まれているのですね。また、「才能ある個人」とはどのような人たちを指すのでしょうか。


 小説家や漫画家、アニメ制作者や映画監督、またはタレントさん声優さんといったクリエイターの力になる――直接でも間接でも――ことが主な仕事ですが、「才能ある個人を応援する」というビジョンを掲げたときに、ビジネスマンもタレントのひとりであり、エンパワーされるべき存在と考えています。


――ビジネスの作り手も対象なのですね。「才能の開花を支援する」というのは、どのような支援を行っているのでしょうか。


 ひとつめの要素は「戦略」です。物事には戦略が必要で、自分は社会人になってからそれを学びました。戦略というのは、そもそも一体何を達成したいのか、達成するためにはどうすればよいのか、というような根本を決めることです。企業だけでなく個人の才能にも、戦略が必要です。そしてその戦略を実行に移す際には、「テクノロジー」をフル活用する必要がある。私の社会人のキャリアがまず戦略コンサルファームを経てIT企業だったこともありますが、この2つは現代の「才能」が出会うべき2つの要素だと思います。


――戦略とテクノロジーの提供をすることで支援を行っているのですね。戦略の提供と聞いて、あまりイメージができなかったのですが、具体的に何を行っているか教えていただけますか。


 戦略をどう作るかを一言で表現するのはなかなか難しいのですが、例えばのアプローチとしてはフレームワークや標準化されたプロセスの活用、後はコーチングなどが挙げられます。

 フレームワークというのは思考のフォームみたいなもので、古典的なところだと3Cや4Pなどが有名ですが、知っているかどうかというよりも、どれだけ使いこなせるかがポイントとなります。標準化されたプロセスの例としては、例えばPMFを得るためのリーンスタートアップのプロセスなどでしょうか。あくまで例ですが。


 戦略というのは正解が無い世界です。ですので、こちらから一方的に決めることはしません。それに、自分のことは自分で決めた方が、後悔がなくていいです。あくまで、「自分で決める」。ただ、「自分で決める」って怖いじゃないですか。なので、新しい環境を選ぶ不安を取り除いてあげる、自分で決める際の手助けをするという支援をすることで、勇気をもって一歩を踏み出して、やりたいものの実現に近づいてほしいと思っています。


――自分で決めることの不安を取り除いてあげることも戦略の提供に含まれているのですね。ではなぜ、戦略とテクノロジーの提供という形の支援を行っているのでしょうか。


 日本では、エンターテイメントにおいて素晴らしい技術や資産を持っているのに、世界で戦える資産を有効に活かせていないと感じます。

 なぜ、有効に活かせていないか。それは戦略とテクノロジーが足りないからです。日本の戦略とテクノロジーは世界から見て遅れています。戦略というものの前提は先ほども述べた通り何かを「決める」ということですが、日本において「決める」ということが軽視されている点も、戦略が遅れている原因であると言えます。


――最後に、サクラスという組織全体で共有している価値観などがあれば教えて下さい。


 個人が個として独立した存在としてプロとして働く、ということです。プロフェッショナリズムを特に重要視しています。学生であれ、社会人であれ同じです。こればかりは私の独りよがりだといけないので、「実際にそうできてるか」は、このブログを通じて確認したいと思っているところですが(笑)、


――日本は相互依存的な価値観が一般的であるので、個々の独立に焦点を当てたバリューはとても興味深いですね。

 

池上社長がなぜ「才能の開花を支援する」というミッションを掲げ、実際にどのような形で支援を行っているかについてインタビューをすることで、自由や自己決定が軽視されがちな日本の文化的な下地について改めて考えることができた。池上社長は現代の日本で優れているもの/足りないものを見極めることで、サクラスの果たすべき役割を位置づけている。私たちは今、どのような夢を持ち、どのように夢を実現させるのか、自由に考え、決める権利を持っている。その機会を制限している要素がもしあるのなら、戦略とテクノロジーによる支援を行い、才能を解放することがサクラスのミッションである。

(文/粟根愛華=お茶の水女子大学2年)

サクラス・インターン通信

サクラス株式会社のインターン生の活動を紹介するブログです。

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